先日かかってきた電話は「以前お世話になった中央区の〇〇法律事務所ですが、、、覚えていらっしゃいますか?」 忘れはしません、10年以上前の買い取りですが鮮明に覚えています。文京区の高台にあった古い古いお屋敷はすぐにお医者様とわかる洋館造りでしたが、人が住んでいる気配は全くなく少し荒れかけた雰囲気でした。ただ外観から伺うだけで私たち古道具商から見ると処分されてしまうには惜しい再利用できるモノ、物、ものがある事がわかりました。「何としても買い取りをしたい」そう思い何度となく足を運び手書きのチラシや名刺、プリントしたちらしをしつこいくらいにポストへと放り込みました。数ヵ月後、その甲斐あって財産管理をしていた銀座の弁護士さんからお電話をいただき見積り、そして購入へとつながったのです。アメリカに住むご遺族から管理を依頼され、不動産から動産物の処分まで任されたとのことでした。ご遺族へのお支払いがほとんどで弁護士さんには少ないお礼金で申し訳ないな~と思ったものです。その先生から久しぶりにお電話いただき「世田谷区のお客様で遺品整理のご相談を受けた」と。「以前一生懸命やっていただいたから」などと涙が出るような嬉しいお言葉。恥ずかしい見積りにならないよう、また先生にご迷惑にならないよう頑張らなくてはと思い伺いました。昭和30年代に建てられたであろうお家は閑静な住宅街にある普通のお宅、家の中はまだ多くの家具や生活品が残されていました。民芸家具や壁にかかった古い洋画、かなり使いこまれたお茶道具の数々、古い着物、掛軸から置物に至るまでトラックいっぱいに積み込みました。今回もお施主さんへ精一杯のお支払い、先生にはわずかのお礼でしたが「ありがとう」とにこやかにおっしゃっていただき「末長いお付き合い」ができれば嬉しいなと思うのでした。